しむかっぷの山菜はなぜ美味い?
しむかっぷの山菜はなぜ美味い?
山菜の宝庫しむかっぷ。ではどうして占冠には山菜が多く、しかも占冠の山菜は美味しいのか。
占冠村の大地は、今から1億5千万年前の白亜紀には、海の底だったと考えられている。その証拠に村のあちらこちら、主に地層の露出する河川沿いなどから、アンモナイトや二枚貝のイノセラムスの化石がたくさん出土している。つまり、多くの栄養分が堆積した海底が地殻変動によって隆起し、現在の占冠の地形となっているのだ。つまり占冠全域は太古の海のミネラルをたくさん含んでいるのだ。これらの地層は現在では豊かな生態系をはぐくむ森林を形成している。村の面積の94%を占める広大な森林と鵡川の源流、そして太陽の光が生み出すのが山菜たちである。太古の海のミネラルをたっぷり含んだ土地だからこそ、これだけの種類そして実に生き生きとした山菜が豊富に取れるのだと考えられている。
また、占冠村にはこうしたすばらしい地域の資源「山菜」をもっと自分たちの暮らしの中に生かそうと、住民が中心となって活動している「しむかっぷ山菜を楽しむ会」がある。かつてはフキやワラビの塩漬けは家庭に欠かせない保存食だったが、店で気軽に山菜が手に入り、一年中野菜にも困らなくなった現代では、これだけ周りにフキやワラビがあっても塩漬けなどで保存する人はほとんどいなくなってしまった。また、山菜は薬草でもあるから薬が手に入りづらかった昔は熱さましや腹痛、切り傷などいろんな場面で使っていた。こちらも現代ではあまり見られなくなってしまった。これらに代表されるように身の回りにある山菜(野草)と暮らしに距離ができてしまったのだ。豊かな地域の資源が暮らしの傍らにあるのに、これらを使わないのはもったいない。占冠に暮らすものとして、山菜に親しむことは地域のアイデンティティだ。こうした考えのもと、「しむかっぷ山菜を楽しむ会」では5月から7月にかけて、種類や採り方、調理法、保存法を学ぶさまざまな取り組みを行っている。
その取り組みの中で唯一、一般の観光客に山菜を振舞っているのが5月末(または6月第1週)の日曜日に開催される「しむかっぷ村民・山菜市」だ。2006年から開催され今年で5回目を数えているこの山菜市では、フキやウド、ワラビ、シドケなどさまざまな生の山菜が並び、山菜を工夫して使った手作り料理の屋台が並ぶ。中でも人気なのは、前日にスタッフが楽しみながら採ったさまざまな山菜をその場で天ぷらにする「ワイルド山菜の天ぷら」だ。山菜の種類はその年の気候や前日のスタッフの気分によって変わるが、毎年20種類くらいを用意しており、このうち5種類を選んでもらい、その場で天ぷらにしているのだ。山菜市では春の日差しの中、おしゃれに地域の食を楽しんでもらいたいと、ヨーロッパのカフェさながらのクロスをかけた手作りのカフェテーブルが並び、地元のワインであるふらのワインを片手に、楽しむ方が多くリピーターが年々増えている。2010年からはさらに食について深く学ぼうと、食のスペシャリストを講師に招き、チーズやワイン、料理を学ぶ「食のワークショップ」も同日開催している。しむかっぷの美味しい山菜を食べてみたい、また山菜についてもっと深く学びたいという方は、ぜひ「山菜市」や「山菜を楽しむ会」の催しに参加して、占冠のすばらしい自然と森の恵みに触れてほしい。
しむかっぷの山菜の種類は…しむかっぷ山菜DBで(今後どんどん増やしていきます)